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2006年5月20日、宮崎県立看護大の大学祭にて、がんに関するイベントが開催されました。
【イベント名】
『がんを語ろう』・・がんは生活習慣病!よく知って家族ぐるみで予防しよう(第1回)
【 主催】
キャンサーヘルプネット宮崎/宮崎県立看護大学

リポート掲載日:2006年5月22日

【概 略】
このイベントは、自らがんを克服した経験を持つ司会者の進行によって、4組のパネリスト(患者本人、家族)が、いかにがんと向き合ってきたかについて語り、参加者との質疑応答を交わす形式で行われ、100名を越す参加者が詰めかけました。
パネリストは、「がんの克服に大事なのは、いかに気持ちを前向きに切り替えるか」「家族ぐるみで生活習慣を変えて孤立させないように努めた」「“数値が良くなった”“顔色が良くなった”という医師の言葉に大きく支えられた」「思ったことは迷わず言葉にしてストレスをためないことが大事」「病気を無理に突き放さず、病気ととことん話し合う気持ちで共存してきた。『がん細胞も自分の細胞』と思うことが大事」などと、自らの体験を元にした話を披露しました。
質疑では、「がんに打ち勝つには体力を付けて戦わなければならない」という意見や「食事療法で食べるものは何か」「県外で治療ができる人は幸せ、宮崎で希望する医療を受けるにはどうしたら良いか」などと言った質問があり、時間いっぱいまで熱の入った応答が続きました。

【パネリストの発表】
1.パネリストAさんの発表
 昨年肺がんと診断され、頭と腰に次々に転移した。余命半年と言われたが、「自分はここでなら闘える」と思える医師との出会いがあった。
その医師が「元気だね」と声をかけてくれると、本当になんとなく元気になってくる。そして(周りが見えなくなってしまっていた自分が)、身の回りの草花などに自然と目がいくようになり、そのころから気持ちの切り替えができるようになってきた。
一番良い方法は、自分が小さいときに良い思い出のある場所に行き、少年時代を思い出すようにすると、気持ちがリセットされるようである。
今は県外で温熱療法で治療を続けている。宮崎にいるときには、食事療法を実践している。
昔はたばこも吸っていたので、禁煙、食事療法はつらいだろうと言われるが、「それをやれば生きていける」という気持ちが大きいので全く苦にはならない。

2.パネリストBさんの発表
 昨年、母親が肺がんと診断され、腰と頭に転移して、やはり余命半年と言われた。家族はインターネットで情報を調べたりして心配したが、本人は呑気で、家族がいろいろと治療を勧めてもその気にならなかった。
しかし、そのうち人に会うのをいやがるようになった。理由は、病気のことを人に知られるのがいやだったからだ。母親の顔から笑顔が消えていった。今まで歩いてトイレに行っていたのが、行けなくなってはじめて新しい治療を試すことにした。
その病院で、医師に「あなたの病気は今すぐにどうなるというものではない。治すためにはまず痩せてください」と言われて、(救われたように)はじめて顔が明るくなり、涙を流した。
それを見て、家族が支えていると思っていたが、やはり母は独りで闘っていたのだと思い、それからは、(母独りではなく)家族で生活習慣から変えることにした。食事なども皆で母と同じものを食べるようにした。
今は、母もひとりでトイレに行けるようになり、人にいろいろしゃべって不安を解消するようにもなった。
行動が全てを変えることを実感した(Bさんの姉)

3.パネリストCさんの発表
 昨年、検査を受けがんか見つかり、主治医の話では余命3〜4ヶ月と言われた。これはいけないと思い、いろいろと治療方法を探し、県外で良い治療があると聞いて試した。
それにかけてみたら、どんどん体が良くなってきている感じがしている。
実は、それまで家族みんなが忙しくて、バラバラの生活だった。しかし、がんが見つかったことで、家族がみんな一丸となってやって行こうという話になりまとまった。このことも自分の支えである。
また、治療中は「数値が下がった」「顔色が良くなった」などと言う医師の励ましの一言で気持ちが全く違ってくることを実感した。
そして、自分が「こうだ」と思ったことは迷わず言葉にし、ストレスをためないことが(がんになって)とても大事だと分かった。

4. パネリストDさんの発表
 6年前、世界に30例しかないと言われる珍しいがんにかかった。しかも、他の例を見ると、2年以上の生存率は100%望めないという状況であった。
自分が、病気の克服のために実践しているのは、「常にリラックスすること」と「常に行動すること」である。
「元気になったらあそこに行こう」ではいつまで経っても行けない。「行けるときに行く」が大事。「行動できるだけ元気になった」ではなく、「行動したから元気になった」が自分の実感だ。
また、病気になるまでは、周りの人がやってくれることは当たり前だと思っていた。
しかし、病気になってはじめて、そうではないことに気がつき、感謝の気持ちが沸いてきた
(両親の無償の愛に気づいた)。 と同時に、「このままでは終われない」という気持ちになった。
しかし、病室にいると周りから「あの人は若いから進行も速い」という話が聞こえてきて落ち込んだ。そのとき、世の中にはマイナスの情報と同じだけプラスの情報もあるはずだと気づき、プラスの情報を集めて行くことにした。
自分の場合、この病気は自分自身が作ったんだと思い、人のせいにせず自分で向き合おうと思った。無理に突き放さず、(がんと)話し合って話し合って、共存してきた。「がん細胞も自分の細胞」と思うことが大事ではないか。

(司会者のコメント)
 親の無償の愛に触れたとき、そのままでいいんだと気づいたとき人は変われる。「ゆっくりでいいんだ」と親から聞く一言で心が癒される。人間の原点だと思う。

5. パネリストAさんの追加
 今は、宮崎に4週間居て、他県の病院で10日間治療を受けるという生活をしている。
宮崎でできることはないか、ということで免疫力を上げるものとして食事療法などをしている。
また、ストレスをためないことが大事で、いやなことから逃げるということが大切だと思っている(笑)
ストレスから逃げる、いやなことは忘れてしまう、絶対がんばってはダメだ。

(司会者のコメント)
 一つの細胞ががんになるのに9年かかると言われる。それを治すためには、はやり同じくらいの
時間がかかるのではないかと思う。普段の生活で実践できることが大事。

6. パネリストCさんの追加
 今は、食事療法として卵、肉、牛乳などは食べないようにしている。

7.パネリストDさんの追加
 食事療法は、腹8分目を心がけているだけ。時間に縛られず、食べたくなったときに、食べたいもの(体が欲したもの)を良く噛んで食べるということ。

【質疑応答】
1.参加者Eさんの意見
 がんとは断固闘わなければならない。パネリストの発表を歯がゆい思いで聞いていた。
自分は、肺がんで余命3〜6ヶ月と言われた。家族にも告げられなかった。悲しさ、寂しさで大声で泣いた。
通算1年の入院後に退院したが、腎臓にも転移した。今でも肺には子供の頭ほどの腫瘍が残っている。
自分の経験から言えることは、治療には何でも副作用があるが、その副作用に打ち勝つことが大事ということだ。何でも口から食べて体力を付けるということが大事。治療は医療者に任せて、本人にできることは、治療に負けない体力を付けることである。がんは必ず本人次第で克服できるという気持ちが大事。
また、自分の担当医はベテランが良いと思っていたが、若い研修医が来てはじめがっかりした。しかし、その医師の「何かあったらすぐに飛んでいくのでいつでも呼んでください」という言葉を聞いて、非常に安心し、その医師で良かったと思った。
また、がんの治療には大変お金がかかる。この問題も何とかしてもらいたいと思っている。

(質問)がんは生活習慣病というタイトルであるが、これはどういうことか?
(回答)自分の生活のどこが悪かったのか、と言う思いはあった。生活習慣とは少し意味合いが異なるが、以前は言いたい事を言えずにストレスをためていたが、何でも言えるようになった今は良い状態だと思っている。(Dさん)
 自分は、たばこがいけなかったと決めて信じている。ストレスをためる生活習慣が良くないと思う。
医師に、ストレスは活性化酸素を作り出すと言われた。人間の細胞はどんどん生まれ変わっているが、新しく細胞を作るときにその活性化酸素が悪さをして、細胞のコピー作業にずれが生じるらしい。(Aさん)
(質問者) あまりストレートに「生活習慣病」と言われても自分も実感がわかないので質問した。

(質問)食事療法をやっている人が多いが、肉や卵は食べないという。何を食べているのか?
(回答)昔の日本人が食べていたような食事であり、何も特別なものではない。肉などは食べないが、魚は食べる。魚、玄米、野菜などで、魚は全体の1/3以下になるようにしている。また、油は極力摂らないようにしている。要は、がん細胞が欲しがる(と思われる)ものを排除した食事である。(Aさん)
(質問者)免疫力を上げるには、笑って、楽しんで、興味を持って気分を良くすることも大事だと思う。
私は、夜寝るときにとても不安になるので、おまじないのような言葉を唱えて心を落ち着けている。
「うたつあし」と言う言葉で、「う・・今日うれしかったこと、た・・楽しかったこと、つ・・ついていたこと、あ・・ありがたかったこと、し・・しあわせだったこと」これらを思い浮かべながら、幸せな気持ちで一日を終えることにしている。

(意見)県外に行って治療をしている人が多いが、そのような治療ができる人は幸せである。宮崎からなかなか出られない人間にはとても残念だ。宮崎でがん治療に積極的に取り組んでいる病院があるのだろうか。
自分の地域に希望する治療を受けられる病院が欲しい。

以上、一部省略した箇所もあります。

【コメント】
 参加者100名を越す大きな規模で、患者さんやサポートするご家族の生の声を聞ける貴重な機会でした。
がんが生じる要因には様々なものがあると言われていますが、生活習慣ががんを作るというのは、かなり以前より言われてきたことだと思います。
 代表的なものが、酒、たばこ。これらは、肝臓や肺に負担を与えるということが、誰にでも想像できるものですし、分かりやすい原因(と思われるもの)です。しかし、今回のイベントで発表したパネリスト全員が、メンタル面でのストレスを重視していました。
中でも、自分がプラス思考で考えることのできるきっかけを敏感に探して、マインドコントロールをしている方が多いと感じました。
そのきっかけのひとつは、やはり医療者の一言であるようです。ひむかCSサポートネットに寄せられるお悩みなども、やはり医療者の一言によるものが目立ちます。
先日、ある雑誌にも「医者と患者の上手な会話術」という記事がありました。近日中にこのことに関するアンケートなどもサイト上で実施したいと思っています。
今回、最後に出た意見「自分の地域に希望する治療を受けられる病院が欲しい」、これは裏返せば、「宮崎のどの病院でどんな治療が受けられるのだろうか」という事でもあると思います。ひむかCSサポートネットでは、医療機関情報の収集にも力を入れていきたいと考えています。

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